プレス金型、プレス加工業界の情報・話題・ニュース

by アプト技研 大島清次郎

1998.4.21.

■技術と設備の谷間■

切削やMIM、ダイキャストなどによる加工法からプレス加工への工法転換は
高付加価値を求めるためのもっとも代表的な方法であり
このコラムや当ホームページでも述べている。

ここのところ、プレス加工における高精度化の技術向上が著しく、
各方面で工法の転換が進められてきている。

工法の転換をするための要素技術は大きく捕らえると、
せん断加工、絞り加工、冷間鍛造、それを連続加工するための順送化技術である
それぞれ今までのレベルをはるかに越える対応が必要になる。

とくにこれまでの普通のプレス加工と異なるところは、加工面圧が高くなり
また加工工程が長くなるために、大型で高精度のプレス機械が必要になってくる事である。
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これまで積極的に工法転換を進めてきた技術力のあるプレス加工企業は、
電子部品、家電、通信などの分野をおもにその対象としてきた。

工法転換を進められる潜在的な力のある金型、プレス加工業はずっと以前から
精度などの面でこれらの分野から鍛えられて人や設備が揃っていた事が大きい。

そのため、これまで工法転換されたすばらしい例を取り上げると、
手のひらの上に何個も乗るような小物の部品がほとんどである。
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近頃、これらの業種以外、例えば自動車を構成する部品などの工法もプレス化
しようとする動きが始まり、大きな流れになりつつある。

しかし、ここに来て大きな壁があった。

今までの自動車部品を主とするプレス加工業者には、大型のプレス機械はあっても、
実現する技術がない、精度を確保するマザーマシンがない。

これでは前に進まないので、従来の仕事の流しかたから外れても
できそうなところを探すと前記の技術力のあるプレス加工企業に当たる。

しかしこの積極的に工法転換を進めてきた技術力のあるプレス加工企業には
大型のプレス機械がない。
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というわけで
このような景気の悪い時期であっても工法転換を進めてきた技術力の
あるプレス加工企業では、積極的に高精度な大型ワイドベッドのプレス機械の
導入が進められている。

またこのような企業では、導入後まもなくそのプレス機械の生産能力は
受注で満杯になってしまう。



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