1997.12.8. ■イントラネットにおけるシステム開発について 〜その1■ 以下のコメントは地方の一ソフトハウスとしてイントラネットのシステム構築を 担当してきた感想をまとめてみました。 この分野は非常に技術革新が速いだけに、担当者としてもどのようなインフラ技術を 活用するのが最適であるか試行錯誤的に対応してきた感もありました。 従来HTMLだけのコーディングの世界では、掲示板/文書管理を主体とする 一方通行的なシステム構築が大半で、ブラウザもNetscape1.0を使い、 パソコンの負荷/ネットワーク負荷もそれほど大きくない時代でした。 世の中でインターネットが注目されはじめてきた、ほんの3〜4年ほど前でした。 やがてメールやCGI技術との組合せによって、そのシステムは急速に適用範囲をひろげ、 誰もが参加できる電子掲示板、スケジュール管理、そして会議室予約など、 既に市場で認知されていたグループウエアなるソリューションと同程度のシステムまでを 目指すことも可能な時代になってきました。 CGI技術(1)の中で、イントラネットのインフラ技術を一段と高めたのは RDBMS(2)との連携技術であったと思います。 (最近は検索エンジン連携、JAVAなどの技術もありますが、この件はいずれ触れたいと思います) 個人的には以下の3つのアプローチでRDBMS連携のインフラ技術が 確立されたのではと思っています。 1)独自の技術でCGIによってRDBMS連携を実現 RDBMSにアクセスするミドルウエア(SQL*Net、SEQUELINK、 ODBCなど)を利用し、独自にCGI開発。 汎用的でないため,固有のシステムへのつくり込み。 PERLインターフェースで汎用的なものもある。 2)DBベンダーがインフラ環境を提供 ORACLEやSQLSERVERなど。 DBアクセスのファイルを記述し、HTMLから制御する。 RDBMSに依存する傾向はあるが、結構細かなロジックを組み込むことも可能。 実際DBベンダーはHTTPさえもつくり、自社DBに特価した機能をもりこんでいる。 (HTTPサーバ自体はそれほど難しい技術ではない...と思う) 3)サードパーティがDBインターフェースを提供。 RDBMSに依存しない開発環境が可能。 HTMLに直接DBアクセスの標準言語SQLを記述できるタイプもあり、 開発はHTMLとSQLだけの知識でOK。 複雑なロジック(条件分岐,配列処理など)を組めないものが多い。 最近はHTMLに直接SCRIPTを書けるタイプもではじめた。 このようなRDBMS連携の技術の確立が2年ほど前から急速に進歩し、 今ではほんの少し前までオープン系システム構築の必須技術であるクライアント/サーバ型の システム構築と同程度のことまでもWEB/イントラネットで望むユーザすらでてきました。 これは大変なことです。 本来一方通行的な参照系主体のシステムであったところへ、同じ参照系でも 同一画面での絞り込み処理や条件分岐、さらには更新系、そしてWEBのもっとも苦手な 排他処理やトランザクション処理... 忘れてはいけないセキュリティ技術も重要です。 その結果非常に高機能なブラウザとフロントでのSCRIPT処理、そしてサーバでは 重たいCGIやトランザクション処理などなど...が必要になってきました。 確かに技術的には大変なことですが、いずれも技術的にクリアしたインフラ環境が 充実してきたことから、最近は素晴らしいシステムを開発/運用しているユーザ事例などが 各種雑誌に紹介されるようになってきました。 個人的には「日経オープンンシステム」をよく読んでいますが、記者の方々も大変だと思いますが、 最近の特集記事は非常によく整理されていると思います。 業界人としては読み易く助かっています。 (続く) (1)CGI:Common Gateway Interface クライアントの要求に対してサーバー内のプログラムを動かすために橋渡しをする機能 (2) RDBMS:リレーショナル(連携型)・データベース・マネージメントシステム